とみやま昔探訪:白浜駅はどこか?

古代の街道の記録には、前回紹介した川上の駅の次は「白浜の駅」とあります。この白浜はどこにあるのでしょうか。
候補は三つあります。一つ目は南房総市白浜、つまり旧白浜町のことです。二つ目は鋸南町吉浜、江戸時代の書物にはこの浜を白浜と考えていたと記録にあります。三つめの候補は、館山市の正木です。この周辺には「白沼」という小字や税を免除した「道免」という小字も残っています。
古代の駅周辺には食料を調達するために必ずといっていいほど免税の農地がありました。そして馬に飲ませる水が必要でした。さらに古代の駅は国府を目指します。安房の国府は三芳の「府中」にあったと考えられていますので川上の駅から鋸南町の吉浜に行くコースは条件に合っていないことがわかります。
旧白浜町は川上の駅からかなり遠いのです。古代の駅間の距離は、およそ三十里(十六キロ)間隔で置かれましたが、川上の駅から旧白浜町まではおよそ三十五キロもあるのです。
正木の白浜の場所は、バイパス沿いにかつてオドヤがあった付近で、古代には白浜郷と呼ばれていたようです。昔は海岸線はここまできていたのでしょう。近くには平久里川の河口があり馬の飲み水調達にもちょうど良かったと思われており、ここが白浜の駅のようです。
白浜の地名は浜が白いという意味とともに清い水が流れているという意味もあります。
今も白浜の地名が残るのは、静岡県下田市、兵庫県姫路市、高知県東洋町、和歌山県白浜町といくつもあります。どちらにも様々な歴史が遺されていることでしょう。
(徳永忠雄)

コメントを残す